Byzen Pro – 温度応答性プロテインA担体

温度応答性プロテインA担体

Byzen Pro®(バイゼン プロ)は、プロテインA変異体を使用したアフィニティクロマトグラフィー担体であり、従来の酸による抗体溶出の代わりに、温度による抗体溶出を可能にします。
プロテインAによる全精製工程を中性領域で行うことが可能となり、目的抗体の失活や凝集体のリスクを回避することができます。

容量 商品コード
5 ml 0809N05
25 ml 0809N25
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製品の概要

Byzen Proの特徴は、温度変化によって抗体の結合と解離を制御できることにあります。
野生型プロテインAでは、強酸による溶出を行うため、潜在的に抗体が凝集体を形成する恐れが指摘されています。Byzen Proは、任意のpHの緩衝液が使用できるため、酸による抗体の活性低下リスクを回避できます。

中性条件下で溶出可能
酸性条件下で精製を行う必要がなく、凝集体や活性低下などのリスクが防止できます
温度変化で結合と溶出を制御
4 ℃で結合、37 ℃~40 ℃で溶出できます
任意の緩衝液で溶出可能
中性であれば緩衝液を自由に選択でき、抗体溶出後の緩衝液交換が不要になります
優れた抗体吸着特異性
野生型プロテインAと同様の特異性を持ち、優れた不純物淘汰能力を持っています
ヒト抗体回収率は95%以上

1. 密閉型カラムを使用した精製例

グラフ
クロマト装置又はポンプに接続して送液を行う場合は、カラム圧力が0.3 MPaを超えないようにご注意ください。

カラム体積
1.0 ml
カラム高
2.5 cm
緩衝液A(結合および溶出用)
20 mM Phosphate, 150 mM NaCl, pH 8.0
流速
1.0 ml/min
結合温度
4 ℃
溶出温度
40 ℃
サンプル
ヒトIgG(1 mg)+セルライセート(1 ml)

精製

  1. カラムを5 CVのH2Oで置換し、カラムの手前に5 mlのループをつける
  2. カラムとループを4 ℃(推奨)に設定した恒温水槽に完全に沈水させ、カラムを緩衝液Aで平衡化する
  3. 約5分間待機した後、緩衝液Aの送液を開始して、サンプルをインジェクトする。
  4. 不純物が除去された後(この例では、約15 CV(カラム体積)、送液を停止してカラムとループを40 ℃(推奨)の恒温水槽に完全に沈水させる。
  5. 約5分間待機した後、緩衝液Aの送液を開始してIgGを回収する。

2. オープンカラムを使用した精製例

所定の温度に設定した冷蔵庫/恒温器内にカラムを設置して行います。温度変化の所要時間は使用環境によって異なるため、H2Oを入れたカラムで事前に測定しておくことを推奨します。重力落下による流速が遅い場合は、カラム出口にアスピレータ又はチューブポンプ等を接続して吸引してください。

緩衝液A(結合および溶出用)
20 mM Phosphate, 150 mM NaCl, pH 8.0
流速
重力落下
結合温度
4 ℃
溶出温度
40 ℃

精製

  1. 所要量のByzen Proレジンをピペット等でカラムに充填する(抗体濃度が低い場合、レジン高は2 cm以上を推奨)
  2. 3~4の作業は、4 ℃(推奨)に設定したコールドルーム中で行うか、4 ℃(推奨)に設定した冷蔵庫にカラムを設置して行う
  3. 5 CVの緩衝液Aを重力落下させてカラムを平衡化する(緩衝液を事前に4 ℃に冷却しておくと、待機時間を短縮可能)
  4. カラムの温度が4 ℃であることを確認し、レジンの表面を乱さないように、4 ℃に冷却したサンプルをピペット等でカラムにロードし、重力落下させる(抗体濃度が低い場合、流速は0.2 ml / min程度を推奨)
  5. レジンの表面を乱さないように、4 ℃に冷却した緩衝液Aをピペット等でカラムにロードし、重力落下させる。不純物が除去されるまで、このステップを繰り返す
  6. 7~8の作業は、40 ℃(推奨)に設定した恒温器にカラムを設置して行う
  7. カラムの温度が40 ℃であることを確認し、レジンの表面を乱さないように、40 ℃の緩衝液Aをピペット等でカラムにロードし、数分待機した後、重力落下させてIgGを回収する

保存

  1. カラムを5 CVのH2Oで置換する
  2. 密閉型カラムの場合は、5 CVの20 %エタノールでカラムを置換し、そのまま4 ℃で保存する
  3. オープンカラムの場合は、5 CVの20 %エタノールでカラムを置換し、レジンをカラムから取り出したうえで、20 %エタノール中、4 ℃で保存する

仕様

樹脂 ポリビニルアルコール
平均粒径 60 μm
耐圧 0.3 Mpa、3bar
流速(推奨) 125~250 cm/h
pH(推奨) pH 6~pH 8
結合温度(推奨) 10 ℃以下
溶出温度(推奨) 37 ℃ ~40 ℃
静的最大結合量 26~34 mg/ml(ヒトIgG)
保存条件 20 %エタノール、4 ℃

精製に適した抗体

  • ヒトIgG1、IgG2、IgG4
  • ウサギIgG等